今回は「遠い空の向こうに」について少し。この映画は近場の映画館の上映が無く、都心まで足を運んで鑑賞しました。
映画の舞台はソ連が人類初の人工衛星スプートニクを打ち上げた1957年、ウエストバージニア州の炭坑の町コールウッドです。夜空を横切るスプートニクの軌跡を目撃したことから仲間達とロケット作りに熱中し、やがてはNASAのエンジニアになる少年ホーマー・ヒッカムがこの映画の主人公です。
この町の少年達は炭坑夫になるか、ごく一部の例外としてスポーツで名をなして奨学金を得て町を出ていくかの道しかありませんでした。ホーマーの父親は炭坑の責任者の一人で炭坑の仕事に誇りを持ち、当然息子も自分の仕事を継ぐものと信じて疑いません。彼にとっては手製のロケットの打ち上げなど、おもしろ半分のお遊びに過ぎません。ホーマー達を怒鳴りつけ、ロケットの実験を禁止します。この頑固一徹の父親をクリス・クーパーが見事に演じています。
ホーマーが炭坑夫のヘルメットを被り、夜空の星を見上げながらリフトで地下の炭坑へ降りて行くシーンが印象的でした。映画のラストでは父親と息子が理解しあう感動のシーンが用意されています。「ビッグ・フィッシュ」とも共通するテーマですね。
ホーマー達の良き理解者の美人教師をローラ・ダーンが魅力的に演じておりました。
ホーマー・ヒッカムの自伝を原作にしているだけに派手な展開はありませんが、心に染みる映画です。監督はジョー・ジョンストンさん、「ジュマンジ」「ロケッティア」もなかなかでしたね。