今回は1962年公開、実話を原作にしたバート・ランカスター主演の「終身犯」の話を少し。
バート・ランカスター演じるロバート・ストラウドは恋人に乱暴した男を殺した罪で12年の刑を受け連邦刑務所に収監されます。そして刑務所内でも母親を馬鹿にした男に暴行、さらに遠方から面会に来た母親を追い返した冷酷な看守を殺してしまい終身刑となります。救いの無い独房生活の日々の中、ある日彼はずぶ濡れの雀を見つけます。雀に芸を教えかわいがるストラウド。彼はやがて鳥の魅力に取り憑かれていきます。専門書を取り寄せ、習性、病気にも精通していきます。刑務所内に鳥小屋や研究室を持つ事を許可された彼は、カナリアの熱病の研究で論文まで発表するほどになります。
「遠い空の向こうに」の主人公はスプートニクの軌跡を見てロケットに魅せられ、やがてはNASAの科学者になります。この映画では学問になんの縁もなかった男が、一羽の雀を拾った事から、鳥類の権威になるまでが描かれます。アクションスターという印象が強いバート・ランカスターが、押さえた演技の中にも存在感抜群にストラウドを演じています。
ちなみにストラウドを徹底的に嫌い、彼をことごとく妨害する看守長(後に所長)をカール・マルデンが演じていますが、この人もいい人から憎まれ役まで芸達者ですね。「パットン大戦車軍団」のブラッドレー大将役も印象的でした。
原題は「BIRDMAN OF ALCATRAZ」です。